ホームページを作るならどっち?オリジナルデザインVSテンプレートを比較!
ホームページを制作する際には、「オリジナルデザイン」(オーダーメイドのデザイン)にするか、「テンプレートデザイン」(既成のデザインひな型を利用)にするかという重要な選択があります。それぞれにメリット・デメリットが存在し、目的や予算に応じて最適な選択肢は異なります。以下では、両者の違いを制作費用から適したケースまで8つの観点で詳しく比較・解説します。
まず、オリジナルデザインとテンプレートデザインの主な違いを表にまとめます。その後、各項目について詳細に説明します。
オリジナルデザイン vs テンプレートデザインの比較表
観点 | オリジナルデザイン (オーダーメイド) | テンプレートデザイン (既成ひな型) |
---|---|---|
制作費用 | 高い(初期費用50~100万円程度が相場) | 低い(無料~数万円、企業サイトでも20~50万円程) |
納期(制作期間) | 長い(数週間~数ヶ月。要件次第で長期化) | 短い(即日~数週間。短期間で公開可能) |
デザイン自由度 | 非常に高い(レイアウトや機能を一から自由に設計可能) | 低い(レイアウトが固定化。細部の変更や独自性の表現は困難) |
ブランディング | 高い表現力(独自の世界観でブランドイメージを体現) | 個性が出しにくい(他サイトと似たデザインになりがち) |
SEO・集客効果 | 最適化しやすい(構造を最適化し高度なSEO対策も実装可能) | 標準的(基本SEO機能はあるが細かな最適化に制約) |
成果(CV率・満足度) | 高めやすい(デザインや導線を工夫してCV率アップが期待) | 標準的(汎用デザインのためCV最適化や満足度向上に限界も) |
メンテナンス・拡張性 | 柔軟(将来の機能追加や拡張に対応しやすい。サポート充実) | 自力対応が多い(納品後サポートなしも。機能追加に限界) |
適したケース | ブランディング重視・集客重視の企業サイト、大規模サイト等 | 予算・時間に制約のある小規模サイト、簡易なコーポレートサイト等 |
続いて、上記の観点ごとに詳細を解説していきます。
1. 制作費用の違い
ホームページ制作にかかる費用は、オリジナルデザインかテンプレートデザインかで大きく異なります。
- オリジナルデザイン:一からデザインを起こす分、初期費用は高めになります。一般的な企業サイトをオリジナルで制作する場合、50万円~100万円前後の費用が相場と言われています。要件が高度になったり集客機能を盛り込んだりすると、100万円以上の予算となるケースも珍しくありません。その代わり、費用に応じて独自機能の実装や充実したコンテンツ制作が可能です。
- テンプレートデザイン:低コストで始められるのが大きな魅力です。既成のテーマやテンプレートを使うことでデザイン費を大幅に削減でき、数万円程度から制作が可能です。小規模なサイトであれば10万円以下で収まることもあり、無料のテンプレートやホームページ作成サービスを利用すれば実質無料でサイトを立ち上げることもできます。ただし、テンプレートのカスタマイズや追加機能によっては別途費用が発生し、要件次第ではオプション費用がかさむ点に注意が必要です。
2. 納期(制作期間)の違い
プロジェクトの納期にも、両者で明確な差があります。
- オリジナルデザイン:制作期間は比較的長くなります。デザインの打ち合わせ、プロトタイプ作成、修正工程などを経て、一から構築するため数週間から数ヶ月を見込むべきです。ページ数が多かったり高度な機能開発が伴う場合はさらに時間が延びることもあります。また、制作過程でのコミュニケーション(要件定義やデザイン確認)に時間を要するため、余裕を持ったスケジュールが必要です。
- テンプレートデザイン:短期間での公開が可能です。あらかじめデザインが用意されているため、コンテンツ(文章・画像)を当てはめる作業が中心となり、早ければ数日~1,2週間程度でサイトを立ち上げられます。特急案件ではテンプレート活用により「最短当日中」に仮サイト公開という事例もあるほどです。デザイン作業に時間を取られない分、スピード優先のプロジェクトに向いています。ただし、短納期で仕上げるために後から細部の調整が難しくなることもあります。
3. デザインの自由度と柔軟性
サイトの見た目や構成をどこまで自由に設計できるかも大きな違いです。
- オリジナルデザイン:デザインの自由度は極めて高いです。ゼロからデザイン起こしができるため、レイアウト配置、色使い、機能配置まで細部にわたりこだわった設計が可能です。例えば、「ここに動画を背景で入れたい」「この部分は特殊なアニメーションにしたい」といった細かな要望にも対応できます。また、必要な機能を自由に組み込めるため、自社の業種や目的に合わせてレイアウトやUIを柔軟に調整できる点も強みです。結果として、自社だけの独自性あふれるサイトを作り上げることができます。
- テンプレートデザイン:デザインやレイアウトの自由度には制限があります。用意されたレイアウト構造にコンテンツを当てはめる形になるため、「この部分だけデザインを変えたい」「独自の配置にしたい」という細かなカスタマイズが難しい場合が多いです。テンプレート自体にある程度のバリエーション(色やフォント変更等)は用意されていますが、レイアウトの大枠は固定されていることがほとんどです。そのため、サイト制作を手軽に行える反面、細部まで自分好みのデザインに仕上げることは難しいと理解しておく必要があります。
4. ブランディング・表現力の差異
企業のブランドイメージや世界観をどれだけ反映できるかも、両者で差が出ます。
- オリジナルデザイン:ブランディングに最適で、表現力が高いサイトを作ることができます。自社のコンセプトや強みを踏まえ、一貫したデザインテーマや独自のビジュアルでサイト全体を構築できるため、訪問者に与える印象を思い通りにコントロールできます。例えば高級感を演出したいなら洗練されたデザインに、親しみやすさを出したいなら柔らかいデザインに、とブランドイメージそのものをサイトに投影できます。また、細かなニュアンスや独自の世界観も表現可能なので、他社にはない唯一無二のWebデザインでユーザーの記憶に残りやすいのも利点です。実際、オリジナルデザインのサイトはテンプレートサイトに比べて、見る人に「プロフェッショナルで信頼できる」という印象を与えやすい傾向があります。
- テンプレートデザイン:デザイン面で個性を出しにくい点がデメリットです。既存のテンプレートを利用する場合、どうしても他のサイトと似たような見た目になりがちで、「どこかで見たようなサイトだ」と思われてしまう可能性があります。特に多くのユーザーに利用されている人気テンプレートほど、同じレイアウトのサイトが世の中に溢れるため、自社らしさを表現するのが難しくなります。また、テンプレートによっては余計な要素を削れなかったり、自社のカラーに完全には合わせきれない部分も出てきます。結果として、ブランディングという観点では画一的で埋没しやすいデザインになり、強い印象を与えにくいと言えます。
5. SEOや集客効果への影響
Webサイトを作る以上、検索エンジン経由の集客(SEO)や問い合わせ・売上への効果も無視できません。オリジナルとテンプレートでSEO対策のしやすさに違いがあるか見てみましょう。
- オリジナルデザイン:サイト構造を含めて自由に設計できるため、SEO対策を細部まで最適化しやすいのが強みです。例えば、ページの階層構造を検索エンジンが理解しやすい形に設計したり、表示速度を向上させるため不要なスクリプトを省く、といった技術的SEO施策を織り込むことが容易です。また独自ドメインでの運用が基本となるため、無料ホームページサービスのサブドメインしか使えないようなケースと比べてドメインパワーでも有利になります。制作段階でSEOの専門家と連携し、構造化データの埋め込みやモバイル最適化など高度な対策を盛り込めるのもオリジナルならではです。結果として、集客効果(検索順位向上やアクセス増)を狙いやすいプラットフォームだと言えます。
- テンプレートデザイン:基本的なSEO対策機能は備わっている場合が多く、テンプレートだからといって一概に検索エンジンに弱いわけではありません。ただし、テンプレートは内部構造があらかじめ決まっているため、特殊なSEO施策やサイト独自の集客導線を盛り込みにくい側面があります。例えば、テンプレートによってはヘッダーやフッターのHTML構造が固定化されており細かな修正ができない、不要なプログラムが入っていてページがやや重いが削除できない、といったケースです。このように自由度の低さが専門的なSEO最適化の妨げになる場合もあります。また、テンプレートによるサイトは量産されがちなので、内容によっては他サイトとの重複や類似コンテンツと見なされて差別化が難しく、結果的に集客効果が出にくいケースもあります。そのため、競合が多いキーワードで上位表示を狙うような場合には、テンプレートのままではなくカスタマイズやコンテンツ面での差別化が必要になるでしょう。
6. 成果(CV率やユーザー満足度)への影響
Webサイトを公開した後に得られる成果、例えばお問い合わせや資料請求・商品の購入といったコンバージョン率(CVR)や、訪れたユーザーの満足度にもデザイン手法の違いが影響します。
- オリジナルデザイン:サイトから得られる成果を最大化しやすいのが特徴です。デザインやコンテンツ、ユーザー導線を自社のターゲットやゴールに合わせて最適化できるため、訪問者にとって使いやすく魅力が伝わりやすいサイトとなり、結果的にコンバージョン率向上につながる可能性が高まります。例えば、強みとして打ち出したいポイントを視覚的に強調したり、ユーザーの視線誘導を計算したレイアウトにすることで、問い合わせや購入などの行動を促進できます。実際、「ビジネスの魅力をどれだけ伝えられるか」がCVRやリピート率に大きく影響することは言うまでもなく、オリジナルデザインであればその魅力の伝え方を徹底的に追求できます。また、ユーザー満足度の面でも、ターゲットユーザーに合わせた使い勝手やコンテンツ内容を追求できるため、サイト利用体験(UX)を向上させやすく、満足度や再訪問率の向上が期待できます。オリジナルデザインのサイトは「自分たちのために作られた特別なサイト」という印象を与えやすく、信頼感から問い合わせ率が上がった例も多く報告されています。
- テンプレートデザイン:汎用的な構成ゆえに、成果最適化の面では一定の限界があります。テンプレートサイトは基本的に多くのサイトに当てはまる平均的なレイアウトになっているため、特定のターゲットに刺さるような尖った表現や導線設計はされていません。そのため、サイト来訪者に提供する体験も画一的になりがちで、コンバージョン最適化の点ではオリジナルデザインに一歩譲ります。しかし、テンプレート利用者の中には「ホームページは名刺代わりにあれば良い。集客は特に狙っていない」というスタンスの人も多く、そのような場合はテンプレートで最低限のWebプレゼンスを確保できれば問題ありません。要するに、テンプレートデザインは“そこそこ成果が出れば良い”場合にはコストパフォーマンスの良い選択ですが、本格的にCV向上やユーザー満足度向上を目指すのであれば、デザインや導線をカスタマイズできるオリジナルデザインの方が有利と言えます。
7. メンテナンス性や拡張性
ホームページは公開後の保守・運用も大切です。更新のしやすさや将来的な機能追加への対応力について比べます。
- オリジナルデザイン:メンテナンスや拡張にも柔軟に対応しやすいという利点があります。オリジナルサイトの場合、基本的には制作を担当した会社や制作者から納品後のサポートや保守サービスを受けられることが多く、何か不具合が生じた場合でも迅速に対応してもらえる安心感があります。また、サイト自体が自社の要件に合わせて構築されているため、後から新しい機能を追加したり、ページを増やしたりする場合でも一貫性を保ちながら発展させやすいです。実際、「まずは最低限のサイトをオリジナルで作り、後から機能やコンテンツを拡充して育てていく」といった段階的な拡張も可能で、将来的なニーズの変化に柔軟に対応できます。さらに、オリジナルデザインの場合はソースコードやデザインデータが自社専用に調整されているため、CMS(例えばWordPress)のテーマ更新によるデザイン崩れなども起こりにくく、長期的に安定した運用がしやすい傾向にあります。
- テンプレートデザイン:手軽に公開できる反面、運用フェーズでは制約や課題が出ることがあります。テンプレート提供側のポリシーによっては、納品後のサポートが受けられないケースも多く、その場合サイトの修正や更新作業をすべて自社で行わねばなりません。たとえば、テンプレートを使っているとレイアウト崩れや機能の不具合が起きた際に、製作者に問い合わせても「テンプレート提供のみでアフターサポートは契約に含まれない」といった対応をされることがあります。また、CMSテンプレートでは本体やプラグインのアップデートに伴いデザインが崩れることもあり、その修正も自力対応が必要です。拡張性の面でも限界があり、用意された範囲以上のカスタマイズをしようとすると結局開発者の助けが必要になったり、最悪場合によってはサイトを一から作り直す判断を迫られることもあります。実際、「テンプレートで作ったが、自社でコンテンツ更新を続けるうちにテンプレートの制約がボトルネックとなり、最終的にオリジナルデザインでサイトを作り直した」という声もあります。総じて、テンプレートサイトは短期運用や小規模運用には適していますが、長期的・大規模になってくるとメンテナンスや拡張で不便が生じやすいと言えます。
8. それぞれが適しているケース(活用に向いている企業や業種)
最後に、オリジナルデザインとテンプレートデザインの向き不向きについて、どのようなケースでどちらを選ぶべきかを整理します。
- テンプレートデザインが適しているケース:とにかく低予算・短期間でサイトを立ち上げたい場合に最有力な選択肢です。例えば、創業間もないスタートアップや個人事業主で予算に余裕がない場合、まずはテンプレートで最低限のホームページを持つのが現実的です。実際、急ぎでホームページが欲しい・費用をかけたくないという方にはテンプレートタイプの制作がぴったりの手段だとされています。また、ウェブからの積極的な集客よりも会社案内的な役割(名刺代わり)を重視するサイトにも向いています。例えば、小さな飲食店の店舗紹介サイトや、地域密着のサービス業者のサイトなど、派手な演出より基本情報が伝われば十分なケースではテンプレートでも必要十分な成果が得られます。加えて、社内にIT担当者がいて自分たちで更新・運用していきたい場合も、テンプレート+CMSの構成なら比較的管理が容易なので適しているでしょう。業種で言えば、競合との差別化にウェブ上でそこまで注力しなくても良い士業・地元商店・簡易なコーポレートサイトなどはテンプレート利用が多い傾向にあります。
- オリジナルデザインが適しているケース:自社のブランドイメージをしっかり表現したい企業や、ウェブ経由の集客・コンバージョンを重要視する事業に向いています。例えば、デザインそのものがブランディングに直結するファッション・アパレル、飲食(高級レストラン)業界、ブライダル業界などでは、オリジナルデザインで世界観を作り込むことで他社との差別化を図れます。また、競合が多い業界やWebマーケティング重視の企業(不動産、人材、ITスタートアップ等)では、独自デザインのサイトによってユーザーの信頼を勝ち取りやすくなり、結果として問い合わせ件数やCV率で優位に立てる可能性が高まります。さらに、機能面で特別なカスタマイズが必要なECサイトや会員機能付きサイト、複雑な予約システムを伴うサイトなどもオリジナルデザイン(+オリジナル開発)が選択される傾向にあります。要するに、「Webサイトを戦略的なツールとして最大限活用したい」場合にはオリジナルデザインが適していると言えるでしょう。予算や時間はかかりますが、その分得られるリターン(ブランド価値向上や高い集客効果など)が大きいため、中長期的な視点で見ればオリジナルデザインの方がビジネスに貢献するケースも多いです。
以上、ホームページ制作におけるオリジナルデザインとテンプレートデザインの違いを8つの観点で比較しました。
まとめ・・・
「オリジナル=オーダーメイドの高品質路線」、「テンプレート=既成枠内での手軽路線」と言えます。それぞれの特徴を踏まえ、自社の目的に合った方法を選択することが重要です。短期的にはテンプレートで素早く立ち上げ、事業拡大に伴ってオリジナルデザインへリニューアルする、といった段階的アプローチを取る企業もあります。最終的には、費用・時間・求める効果のバランスを検討し、自社にとってベストな制作手法を選びましょう。